大洗紀行

大洗磯前神社(大洗町磯浜町)

大洗を代表する写真に波が洗う海岸の磯に建てられた「神磯の鳥居」の初日の出を撮ったものがある。
その鳥居がこの大洗磯前神社のものである。ガルパンでは神社周辺で戦車戦が展開された想定になっている。
大洗水族館がリニューアルする前は、この神社前のホテルが立ち並ぶ場所付近が大洗で一番の繁華街であった。
なお、この名前「いそまえ」ではなく「いそさき」と読む。
でも付近に住む管理人の知人は「磯前」と書いて、字のごとく「いそまえ」さんであるけど・・・
大洗町一番の神社。

平安中期に編集された『延喜式神名帳』には「常陸国鹿嶋郡 大洗礒前薬師菩薩明神社」と記載され、名神大社に位置付けられているので、平安時代には存在していたことになる。
旧社格は国幣中社。『日本文徳天皇実録』によると、斉衡3年(856年)に常陸国鹿島郡の大洗磯前に神が現れたとされる。
大己貴命(大奈母知)が大洗に、少彦名命(少比古奈命)が酒列に祀られ、両社の創建となったと伝えられている。
太平洋に面した岬の丘上に鎮座し、那珂川を挟んだ北岸のひたちなか市にある酒列磯前神社と対をなし、2社で1つの信仰を形成している。

『古事記』『日本書紀』『風土記』などの神話では大己貴命と少彦名命の2神が併せて登場することから、この2神の組み合わせで祀る神社は多いそうである。
いずれも海に関する神社であり、特に、航海の安全、豊漁で信仰を集めることが特徴。
このため、海に係るものが多く、大きな錨が奉納され、軽巡那珂の慰霊碑も建つ。

鳥居からは東に広がる太平洋が望める。 神仏混合の影響を残す瑞神門 県文化財の拝殿
異様に巨大な屋根を持つ本殿 さすが海洋に係る神社、錨が奉納されている。 トラックで戦没した軽巡那珂の慰霊碑

境内には海洋博物館があったが、現在は老朽化で閉鎖されている。
昭和の時代、ここに行った。珍品が多数あった。一番印象に残っているのは「鯨のチ〇ポ」のホルマリン漬けであった。
それを見てかあちゃんが「あんたの「とうがらし」とは比べ物にならんね。」とのたまわった。
「違うわ!ズッキーニだ!」

この神社も戦国時代は荒廃し、江戸時代元禄3年(1690)、水戸藩主の徳川光圀、綱條により再興工事が開始されたという。
茨城県の文化財に指定されている本殿は一間社流造で茅葺。
享保15年(1730年)に現在地に遷座した。
この建物、屋根部が異様に大きく台風が来たら飛ばされないか心配。
拝殿は桁行5間、梁間2間で向拝1間付きの入母屋造で茨城県文化財、随神門は大洗町文化財にそれぞれ指定されている。

アクアワールド大洗(大洗町)
正式には、「アクアワールド茨城県大洗水族館」通称、アクアワールド大洗。茨城県最大、全国でもトップクラスの大型水族館。
1970年に開園した大洗水族館が前身。

当時も遠足のメッカであり、我が娘は遠足で来たここ大洗水族館で行方不明となり、先生や水族館職員を巻き込み大騒動を引き起こした痛恨の汚点を残した。

その大洗水族館をベースに大改装を行い、2002年にリニューアルオープンしたのが、「アクアワールド大洗」。
改装どころかかつての「大洗水族館」などの影がどこにもないような施設となった。

博物館や科学館的な展示手法を採り入れた海の総合ミュージアムに変身していた。

財団法人「いばらき文化振興財団」が経営。
延床面積約2万平方m、鉄筋コンクリート造5階建(一部7階建)。
展示水槽水量は総水量で約5100トン)。

60余の展示水槽があり、約580種、68,000点の展示生物を行なっている。
ここのセールスポイントは「サメ」、52種を飼育し、これは日本一。
他に日本一の大きさであるマンボウ専用水槽(270トン、8尾)や世界最大級のマンボウ剥製(全長3m)、世界最大のウバザメ剥製が展示され、イルカショーなどもやっており、キッズコーナー、マーケットプレイス、フードコートがある。

基本テーマは「茨城の海と自然・世界の海と地球環境」。
当然ながら今も地元小学校の遠足の定番コースであるが、家族でも十分楽しめる。

ネックは入場料、大人1800円。
これは難物。家族で来ると痛い。

でも、水槽の水を循環させるポンプや水温を維持するためのヒーターを24時間稼働させていので電気代は年間約1億3000万円に上るそうである。
(東電が値上げすればさらに年間約2700万円の負担増になる見込みとか。)
これに人件費、えさ代などを加算すれば、料金は高く設定せざるを得ないかもしれない。

でも行った時(2012.3.20)は開館10周年で半額だったので、久々に家族5人全員で来てみた。
ほぼ10年振りかな。

海に隣接してはいるが、この場所、標高15mの高台にあるので津波の心配は少なく、3.11でも津波被害はなかったそうだ。

あの時も4.1には再開にこぎ着けたそうである。

なお、西側はさらに標高20mの高台になっている。
もっと凄い津波なら西の高台に上がればよい。

しかし、平成23年度は福島第一原発事故の風評被害で、年間100万人に上る来館者は6割程度に落ち込んでいるのだそうだ。
そして、昨年3〜8月の入場料や売店収入の減収分などとして約3億円の損賠賠償を東電に求めているという。

まあ、そんなアクアワールド大洗であるが、展示は文句なく素晴らしい。

魚の名前はチンプンカンプン、刺身にしたら美味そうだなとか、すべて食物に結び付けて魚を見る程度の認識しかない管理人が言うのであるから間違いはない。

素晴らしい、そして美しいのだ。

ここでは、世の喧騒や悩みも忘れ、神秘の美しい世界に短い時間であるが浸れるのである。
極めて幸福な時間を過ごせる。

磯浜海防陣屋と日下ヶ根塚古墳、車塚古墳