奥久慈紀行

蒟蒻神社(大子町大子)
色々なものや人物を祀った神社があるが、この神社もなかなか面白い。
大子町にある十二所神社の一角にある。
十二所神社裏山の砦を探訪した帰りに立ち寄った。

まずは神社の名前に惹かれる。
「蒟蒻」って、あの食べ物、おでんにはなくてはならない構成員の1つあの「こんにゃく」のことである。

しかし、祀られているものは「蒟蒻」そのものではなく、江戸時代に粉こんにゃくの製法を発明し、こんにゃくの流通を飛躍的に高めた常陸国久慈郡諸沢村(後、山方町、現、常陸大宮市)の中島藤右衛門(1745-1825)さんという人物を祀ったものである。
当時、水戸藩領北部の山村では蒟蒻芋の栽培が盛んであったが、芋は重く、製品も重く、運搬が大変であり、かつ長期保存にも向かなかったりで販路が限られていた。
現在のトラック輸送からは想像できない世界である。
このため、藤右衛門は蒟蒻を乾燥させ、水分を除去し軽量化するとともに保存性も向上させる方法を開発した。
これを粉こんにゃくと言うが、これを発明したことにより運搬が楽になり、販路が拡大し収益が上がったので農民達は藤衛門を「神」と称え、神に祀ったものという。

神社創建は意外にも最近のことであり、昭和56年(1981)藤右衛門の故郷、諸沢の山尊神社から分霊したという。
神社の額の書は当時の茨城県知事である。面白いのは江戸時代から昭和50年頃までの蒟蒻相場の変遷が掲げられていることである。
礼大祭「蒟蒻祭」は藤右衛門の命日4月8日に行われる。


↑ 何故か、江戸時代からの相場の記録が掲げられている。

←神社の額は当時の茨城県知事の筆による。

永源寺(大子町大子)
JR水郡線大子駅の西、押川を渡った対岸の山の中腹にあり、「もみじ寺」としての方が有名か?
七福神の紅一点、芸能の神である弁財天を祀る。

大子七福神巡りの七番寺でもある。 文安3年(1446)に創建された曹洞宗の寺で、御本尊は釈迦如来、「臥雲山」と号す。
その永源寺に2020年11月16日に行った。
この日の紅葉もそれなりではあったが、若干、雲も広がり今一つという感じでもあった。
地元の人の話では数日前がピークだったとか?当然、毎年ピ−クは異なる。
そんな都合良く訪れるのは無理だ。
平日にもかかわらず、何という人の多さ。

寺の駐車場はそんな広くはなく身障者用に限られる。
一般駐車場は遠い。線路を越え、橋を渡り寺まで歩かなくてはならない。
山の中腹なので遠くからも紅葉は目立つが、老人などには境内の坂、階段を歩くのはきつそう。

さすが見事なものではある。
写真を撮ったのだが、肉眼で見た風景とはどこか違う。
くすんだ感じに映っている。陽の当たり具合もあるのだろうか。
フラッシュ撮影した方が映えたかな?

高徳寺山門(大子町上郷)
風林山高徳寺は大子町北部町付地区から八溝山側に向かった上郷地区にある。
シラカシの巨木と山門が有名であり、雪景色や秋の紅葉の時期の山門の写真が新聞や雑誌に掲載される。
永正元年(1504)の創建とされる寺であり、町付城主が代々崇拝したという。
当初は阿弥陀院と称し天台宗の寺院であったが、途中で曹洞宗に変わっている。

時代的に白河結城氏が創建するが、この地を佐竹氏に奪われると衰え、永禄6年(1563)佐竹氏家臣で町付城主となった荒蒔駿河守が中興するが、その時、改宗したのであろう。

この寺の山門が変わっており、木造茅葺き、間口3.46m、奥行き3.52m、4本のけやき丸柱で組み立てられていて、室町時代末期、佐竹氏がこの地を支配していた頃のものと言われる。
荒蒔氏が城主だった時代のものであろう。この地が産金で栄えていた時期のものである。
派手さは全くない。渋いという印象、時間が渋みを増しているのかもしれない。
元々は彩色されていたというので創建当時は派手だったのかもしれない。

ちょうど秋たけなわの2019年11月17日、この前の道を通り過ぎ、思い出して引き返して立ち寄った。
秋の紅葉のシーズンが素晴らしいという評判どおりなかなか素晴らしいものだった。
晴天時の陽の射し具合次第で綺麗な写真が撮れそうである。この日も写真を撮っている人が何人もいた。
三脚にでかいカメラを固定して撮っているマニアとおぼしき爺ちゃんもいた。何時間、粘っているのだろう。
俺もバカチョンデジカメで撮ってみる。被写体が素晴らしく、天気も良ければ、それなりに撮れる。
のどかな田舎の秋ののんびりしたひと時。

奥茨城村に2017.8.17
2017年NHK朝ドラの「ひよっこ」て面白かったようですね。
管理人、サラリーマンにつき見れませんが、土日は見ていました。お盆休みは毎日見ていました。
しかし、有村架純の田舎のイモ姉ちゃんぶり見事でした。

その故郷の想定が「奥茨城村」・・そんな村、存在しませんが、茨城県北部の山間地帯がどこも「奥茨城村」のようです。
我が家の近くでもロケをしていたので、我が家も「奥茨城村」の一角のようです。
でもこの村は広い。ぶっとぶような超田舎の光景には驚かされます。
ほとんどは過疎地帯で確かに昭和の世界が広がっています。

お盆休み、どこにも行かなかったので、その1つ、生家の舞台に行ってみました。
我が家から1時間程度、山間の田舎の中のさらに奥地の田舎でした。
車のすれ違いができないような細い道路の先に小盆地があり、あの生家想定の家がありました。
映像どおりの光景でした。ちょっと遠くから1枚。
しかし、撮影スタッフどうやってここに目を付けたのだろう。

旧上岡小学校(大子町上岡)
茨城県北部、栃木、福島と境を接する大子町、ここは過疎の町である。
その市街中心部から西の栃木県馬頭方面に国道461号線を進んだ場所に旧上岡(うわおか)小学校がある。
妙に懐かしい感じにさせる校舎である。
明治44年建築の木造平屋の古い校舎が残っており、ロケの名所である。古き時代の小学校の現物展示である。
平成23年4月から半年にわたって放送されたNHK朝の連続テレビ小説「おひさま」の舞台がここ。

主演の井上真央が演じるヒロイン・須藤陽子の母校で赴任先でもある有明山国民学校(有明山尋常小学校)の役を演じた。その他、映画では「俺は君のためにこそ死ににいく」、テレビドラマでは
TBSドラマ「さとうきび畑の唄」、NHK 「純情きらり」、NHK月曜ドラマシリーズ「夢みる葡萄」、テレビ東京 「この指とまれ」・TBSテレビ「僕たちの戦争」
テレビ東京 「男達の風景」・TBS 「ホームドラマ!」、日本テレビ「最後のナイチンゲール」、バラエティでは、テレビ東京「日曜ビッグバラエティー 今甦る! 素晴らしき昭和時代」、
日本テレビ「24時間テレビ 行列のできる法律相談事務所スペシャル」、テレビ朝日「鶴瓶のニッポン武勇伝」の登場。CMでは、「じっくりコトコト煮込んだスープ」、「オロナミンC」、「オリンパス」などに登場。

内部は公開され、フランスレストランもある。
多くの見学の客が来ている。校庭が駐車場なのでかなりの車が置けるのでありがたい。

廃校は平成12年度。
このころは1学年数人程度だったことが掲示されていた卒業写真から分かる。
備品も、児童の作品もそっくりそのままの状態で残っており、ついさっきまで使われていたような感じがする。

それもそのはず、木製の机と椅子や黒板などはロケ用に見つけてきたものという。
校舎を横から 玄関を入ると靴箱が。左が校長室 教室は廃校時のまま。
机は撮影用により古いものに替えてある。
講堂内部。壁には歴代校長の写真が。
ここで卒業式などが行われたのだろう。
音楽室。古い教室にグランドピアノがマッチする。 廊下。ここを走り回った子どもは今は・・・
一段高い段にある講堂への渡廊下 音楽室の楽器やアンプも年代物 玄関脇に丸ポストが 金次郎さんも健在だ。

そりゃ、平成ならスチール机使ったよなあ。
明治から昭和の世界そのままの内部なので、ある年齢以上の世代の者には、無性に懐かしい感じにさせるのである。
しかし、昭和時代によく建て替えをしなかったものである。
町に金がなかったから?廃校予定にノミネートされ無駄な投資をしなかったため?
そうなら禍転じて、福となすってこと?かも。

袋田の滝(大子町)

華厳の滝、那智の滝と並んで日本三名瀑のひとつに数えられる。
高さ120m、幅73mの大きさで、四段に流れることから、「四度の滝」とも呼ばれる。
夏場は緑の中、大水量で流れが落ち、秋は紅葉の名所。そして冬は凍結して氷瀑となる。
でも最近は温暖化のせいか完全凍結することは稀、7割方凍結する程度。

右の写真は2010年1月24日の氷瀑。
かなり近い場所で見ることができ、夏、下の観瀑台に立っていると大水量で落下する水のしぶきがかかりずぶ濡れになる。
しかし、この下の観瀑台からは滝の上の方が見れない。死角になってしまう。
上に展望台ができたというので上からも。しかし、ここでは逆に滝から遠いし、下が見えない。
まあ、適切なスポット、ないものである。
凍結で氷が白い壁になり、岩盤の黒っぽい色との対照が映える。
色の少ない冬の景色。でも写真じゃ、迫力が出ない。

さて、この滝の上、どうなっているか?おそらく渓谷じゃないかと思われるかもしれない。


しかし、なんとそこは水田地帯。小生瀬地区であり、県道が通り、林檎園がある。
内陸であり、昼夜の寒暖の差が甘みを生むというが、その条件にぴったりの地であり、そのため、林檎もそこそこの味である。
そう、ここは林檎の南限にも近い。

おそらく営業出荷している林檎園としては南限に近いと思われる。

月待の滝



高さ15m、幅10m。久慈川の支流である大生瀬川にかかる滝。
滝の裏の岩盤が大きく抉られているため、滝の裏側に入りこむことができるので「くぐり滝」、「裏見の滝」とも言う。
テレビドラマ『ガラスの仮面』の舞台になった。

ここも紅葉と氷瀑が素晴らしい。ここには二十三夜尊の信仰があり、この滝の内側で二十三夜の月(月齢22.5の下弦の月)が出るのを待ち、安産などを祈願するという、いわゆる『二十三夜待(二十三夜講)』が行われていた。
これが「月待の滝」の語源という。

この滝のたもとに蕎麦屋がある。
おいしいと評判らしいが、いつも混んでいる。
それなもんでまだ食べたことがない。

里美牧場(常陸太田市里川町)

茨城県北部、福島県境付近の標高700-800メートルの阿武隈山地にある敷地520haを誇る関東最大級の牧場。
牧場の中では和牛・乳牛が放牧され、遠くには那須連峰や冬場には富士山まで望める。
牧場内には、宿泊施設や県立里美野外活動センターがあり、風力発電用風車群、展望台風車とローラーすべり台もある。
また光害の影響を受けないため天体観測スポットとしても知られる。
本業以外の施設も多く、観光地化しているので家族連れなどでにぎわう。
NHK大河ドラマ「義経」の一の谷のシーンや「徳川慶喜」のロケもここで行われた。
また、縄文時代の土器の出土やストーンサークル等の遺跡も見られる。
さらに、小さな湿地もあり、多くのめずらしい植物やミヤマクワガタなどの高地性のクワガタなどの昆虫類、キツネやムササビ、テン、はくびしんなどを見れる。

岩松寺のヤマザクラ(高萩市上君田)と七反のしだれさくら(常陸太田市里川町)
高萩市上君田は、言っちゃ悪いが、茨城最高レベルの山間の田舎。
ここに岩松寺という寺があり、県の天然記念物の「ヤマザクラ」がある。(左)
樹齢300年、幹周り5.5m、高さ25m。天然記念物としてはこれでも普通レベル。
とは言え、実物を目の前にすると凄い貫禄。

花自体は、ヤマザクラなので白く、ソメイヨシノなんかと比べると地味。
しかし、木全体としては大きいし、凄い迫力と存在感。
ソメイヨシノが集団になっても適わない。老齢の大女優のようだ。 西の山を越えると常陸太田市里川町。すぐ北は福島県。
ここに「七反のしだれさくら」がある。(右)
これも茨城県の天然記念物。
写真はまだ、三分咲きの状態。満開になったら凄いらしい。
樹齢350年、幹周り4.75m、高さ11m。ここには普賢院という寺があったらしく、この桜は人の手植えらしいという。
雪害などで衰えたため、平成2年に活性化術を施したという。

花貫渓谷(高萩市)
茨城県北部、高萩市の西部に山間にある渓谷。
渓谷というとかなりの山の中にあるイメージがあると思うが、ここは違う。

何と渓谷を抜けると海が見えるのである。これはビックリ。
海にはわずか5kmと近いのだが、渓谷自体は海を全く感じさせず、深山の中という感じである。
渓谷沿いに国道461号線が走るが、この国道、今は新道となってトンネルで渓谷部をスルーしており、かつての渓谷沿いの旧道が遊歩道となっている。
かつてはこの狭い旧道をダンプが走っていたのだ。よくすれ違いできたものだ。
秋、ここは紅葉の名所。多くの見物客が来る。
渓谷なので駐車場の確保が容易ではない。離れた場所に駐車場があり、そこから歩かざるをえない。これは仕方がない。


車が来ないので皆さん、ゆっくり旧道を散策して紅葉を満喫している。渓谷の中心に位置する汐見滝の吊橋は大賑わい。
人も多いし、橋上から渓谷を撮影する人、記念撮影をする人で大渋滞、渡るのが大変。吊橋のワイヤーが切れるんじゃないかと心配になるくらい。

滝川渓谷(福島県矢祭町)
茨城県常陸太田市と福島県矢祭町を結ぶ国道349号線、県境の明神峠を越えた北側の矢祭側、久慈川の支流小田川に東の阿武隈の山地から流れ込む滝川が造った渓谷である。
最近までは入る道さえなく、一部のマニアしか知らない完全なる秘境であった。

近年、この地出身の都会に住む方が、地元のこの渓谷の風景に感動し、はじめは自分と同級生で遊歩道作りをはじめ、これに町も賛同し、約3kmにわたる遊歩道が完成し、やっと一般の人も気楽に入れるようになった。
と言ってもスタート地点の標高が350m、終点が570mと比高差200mあり、その間の道もアップダウンが激しく、それなりの装備と健脚、体力がないと無理だろう。
全長3kmの散策路沿いに48の滝が連続し、「福島の遊歩道50選」の第10位にも選ばれている。

渓谷には、滝のほか奇岩や巨木が茂り、春は桜やカタクリ、夏は新緑、秋の紅葉、冬の氷瀑など、四季折々の姿を見せてくれる。
特に写真撮影の格好のスポットであり、バズーカ砲のような巨大レンズを持った写真ファンがいつも来ている。(矢祭町HP参考)

矢祭渓谷(福島県矢祭町)

久慈川が福島県から茨城県に入る地にある渓谷。奥久慈県立自然公園矢祭山(昭和23年10月18日指定・面積668ヘクタール)となっている。
奇岩怪石の白い山肌が久慈川の流れに迫る景勝地で、四季折々素晴らしい景観を見せてくれる。「東北の耶馬溪」ともいう。
国道118号線が通り、駐車場も完備、また、JR水郡線が通り、「矢祭山駅」がある。
古くからの主要街道沿いにあるため、多くの人が訪れ、西行法師、水戸光圀等の歌碑がある。
百数十年を経た5万本のツツジが有名であり、5月には全山、ツツジの赤い花に覆われる。
あたり一帯は、鳥獣保護区として指定され、キジ・ヤマドリ・ムクドリ・キビタキ・カワセミ・ツグミ・ヒガラ・イカル・サンコウチョウ・コルリ等の野鳥や、イノシシ・ウサギ・キツネ等約90種類以上の鳥獣が生息しているという。