ロシア(旧ソ連)ジェット機

Su33「シーフランカー」
アメリカのF15に対抗して旧ソ連が開発した大型戦闘機Su27を空母での運用可能な海軍仕様にした機がこのSu33である。
Su27に着艦フックを取り付けスキージャンプ台を設置することで技術実証試験を行い、1994年8月にSu-27Kの量産型24機を発注。
1995年に空母「アドミラル・クズネツォフ」に搭載した。


しかし、当時のロシア海軍は財政が極めて切迫した状況にあり、Su27Kの実用化は数年間の遅延を余儀なくされ、1998年にようやくSu33として制式化された。
Su33の生産数は24機にすぎなく製造はすでに終了している。

Su33は性能・構造はSu27と殆ど変わらないが、外見上、発着艦時テイルブームが飛行甲板に接触する危険がある為、テイルブームが短縮され、その下部には着艦フックを装備。
前脚の前輪は着艦の衝撃に耐えられるよう二重タイヤに変更。
主翼後縁は、発艦時の揚力増加と着艦時の着陸距離を短縮するため、フラッペロンから後縁最外側をドループ・エルロン、内側を2枚式のダブル・スロッテッド・フラップに変更。
上空での機動性を高めるため、主翼前には全遊動式のカナード翼(上方7度、下方70度)を新たに装備し、機首左側に伸縮式の空中給油用ブロープを新設している。

艦上機のため空母格納庫での運用を考慮し主翼と水平尾翼が折畳み式に改造されている。
最大の特徴は、カナード翼・主翼・水平尾翼の3つの翼を持つ三翼面形態のを採用である。

全長:21.19m、全幅:14.70m(折りたたみ時:7.40m)、全高:5.93m
空虚重量:18,400kg、運用時重量:29,940kg
エンジン: リューリカ=サトゥールン AL-31F3(アフターバーナー時最大 130.4kN)×2
リューリカ=サトゥールン AL-31FM1[12](改修機、アフターバーナー時最大 132kN)×2)
最大離陸重量:33,000kg(空母運用時は26,000kg)巡航速度:M1.06

兵装:GSh-30-1 30mm機関砲×1門(搭載弾薬150発)
最大12箇所のハードポイントに最大8,000kg(空母運用時は6,500kg)の各種ミサイルや爆弾の装着が可能
空対空ミサイル R-27、R-60、R-73
無誘導爆弾 FAB-250 250kg 無誘導爆弾、FAB-500 500kg 無誘導爆弾
ロケット弾 S-250 無誘導ロケット弾、B-8 ロケットポッド(S-8無誘導ロケット弾を使用)
B-13 ロケットポッド(S-13無誘導ロケット弾を使用)
最大速度:M2.165、航続距離:1,620km、離陸滑走距離:120m、実用上昇限度:17,000m

この機を独自開発と称し無断コピーしたのが中国の中古空母に搭載している機である。
確かに形だけはほとんど同じである。
さすがエンジンなどの性能に係る部分はコピーはできなかったようであり、性能はかなり劣ると言われる。

スホーイSu−34
MiG−27、Su−17、Su−24戦闘爆撃機型の後継戦闘爆撃機としてSu−27フランカーをベースに開発されたSu−27IBの量産型。
このため通称は「ストライクフランカー」と呼ばれる。非常に大型の機であり、最大重量は45tと爆撃機並みである。
しかし、シルエットはミグ29とも良く似るがはるかに大型であり、美的にもこれを凌駕する美しさである。
性能的にはF15「ストライクイーグル」と同等と言われる。原型機のSu−27IBは1990年4月に初飛行し、これを副座化したSu−34の量産初号機は1993年12月15日に初飛行した。
外観はSu−27IBと似ており、その設計がそのまま流用されているが、航法/攻撃および地形追随/回避レーダーを搭載部が変更され、インテグラル式燃料タンクを装備、コックピット装甲、荒地でも離着陸可能な小型のタンデム車輪を持つ新型主脚装備、テイルコーンの大型化、カナードの追加など行なわれている。
エンジンはSu−27と同じ、アフターバーナー時推力12500kgを発揮するサチュルン/リューリカAL−31Fターボファンエンジン双発。
空気取り入れ口のランプを固定式にしたため高空での最大速度はマッハ1.8に低下している。

燃料タンクは翼内に2つ、胴体に4つの合わせて6つを装備、さらに外部増槽を3基まで搭載できるので、最高航続距離は7000kmまで延びている。

コックピットに特徴があり、乗員2名が並列に並ぶ。低空対地攻撃を行なうため、対空攻撃を考慮しコックピットの周囲は、厚さ17mmのチタニウム合金で装甲化されている。

かつての旧ソ連製戦闘機と比べ、乗員への配慮も向上しており、長時間に飛行での乗員の疲労を軽減するため、通常の戦闘機より与圧能力を高め、トイレやギャレーも完備しているという。

電子機器は、偏平な形状になったノーズコーンにはレニーニェッツが開発したフェーズドアレイ方式の多機能レーダーを収容、大型化されたテイルコーンには後方警戒用レーダーを搭載し、欧米機並みという。また、コックピットには多機能表示装置を装備しているという。

固定武装は、Su−27と同じ30mmGSh−301機関砲1門を装備するほか、合計12のパイロンに空対地ミサイルや誘導爆弾、AA−11アーチャー(R−73)赤外線誘導空対空や、AA−12アダー(R−77)アクティブレーダー誘導空対空ミサイルなどを最大8t搭載可能である。
全長23.34m、全幅14.7m、全高6.36m、総重量(最大離陸重量)46t
(ユナイテッド・ディフェンス http://www.eurus.dti.ne.jp/~freedom3/ の記事を参照した。)


MiG-19
1954年に初飛行した旧ソ連初の迎撃用の超音速戦闘機、NATOコードネームで通称「ファーマー」。
戦闘機で超音速を実現したのは、世界でアメリカのF100に次いで二番目という。

1950年代後半からソ連本土に大量に配備されたが、すぐにミグ21に置き換わり、現在、ロシアでは全機が引退している。
一方で、多くの機が東欧各国を始め、パキスタン、キューバ、北朝鮮、中国、北ベトナムなどの共産圏諸国に輸出され、現在も現役の機もあるという。
また、中国などではF6としてライセンス生産もされ、さらに独自に改良が行なわれ、この改良型J6などは今も現役という。


格闘戦を得意としたが、エンジン品質が悪いため運用効率が低く、兵装搭載力も少なく、航続力も短いなどの欠点があったが、迎撃専用戦闘機ということを考えると、総合的には成功作と評価される。
形状はミグ15、17の系統をひく後退翼であり、明らかにメッサーシュミットMe262の血を引いていると言える。

エンジン2基が胴体内に双発に装備され、強力な推力を発揮する。
なお、当初の機はいくつかの欠点は持っていたが、中国がMiG-19をベースに開発した戦闘機J6や地上攻撃型のQ-5/A-5は、当初の欠点を全て克服しているので、基本的には優れた設計と潜在能力を持っていた機体と言える。
エンジンは推力3250kgのAM-9Bジェットエンジン2基で、最高速度は1452 km/h。
武装はタイプにより異なるが、23 mm機関砲または30o機関砲3門、250 kgまでの爆弾も2発またはミサイル4発が搭載可能であった。
MiG-17とMiG-21との間のつなぎの役目とはいうが、各種派生型が製造され、貴重なノウハウを旧ソ連の航空機業界に残したと評価される。
実戦ではバレンツ海ではアメリカのRB-47偵察機を撃墜している。
べトナム戦争初期に北べトナム空軍機が使用し、印パ戦争では中国製のF6がパキスタン空軍で用いられ、アフガニスタン戦争にも参加した。
第3次中東戦争ではMiG-19SやF6がイスラエル軍のミラージュVなどと戦ったが、いかんせん輸出仕様の低グレード機であり、パイロットの熟練度もイスラエル空軍にはるかに劣っていたため、空中戦では惨敗した。

この機の最大の特徴は格闘戦性能であり、格闘戦に持ち込めば、その性能は、今でも世界最高レベルであり、F16が何とか対抗できるだけという。

主要スペック 翼幅:9.00 m 全長:12.54 m 全高:3.89 m 翼面積:25.00 m2
空重量:5447 kg 最大離陸重量:7560 kg 燃料搭載量:1800リットル
エンジン:トゥマーンスキイ設計局製 RD-9B ターボジェットエンジン ×2  出力:3250 kg ×2 最高速度:1452 km/h  
通常実用航続距離:1390 km (外部タンク使用):2200 km 上昇力:3333 m/min

MiG-21
旧ソ連を代表する戦闘機、1万機以上が製造されたと言われる傑作機である。
ソ連のミグ設計局が開発し、三角翼が特徴。基本的には迎撃戦闘機であり、格闘戦が得意、欠点は後続距離が短いことである。
このため、旧ソ連では、バラライカ(ロシアの弦楽器で、三角形の胴体が特徴)と呼ばれる。

NATOコードは、「フィッシュベッド」(Fishbed)。
1950年代前半から開発され、1956年1月9日に初飛行を行い、その後MiG-21という名で正式採用された。
もう50年以上前のことである。その機が改良を重ね、今も第一線にあるということは驚きであり、名機の証明と言える。
1959年10月31日に2388 km/hという当時の世界速度記録を樹立した3号機が、MiG-21の最初の生産型となった。

この機体の兵装は、2門の30 mm機関砲とロケット砲であった。
その後、K-13赤外線誘導空対空ミサイル2発を搭載した。

「MiG-21の第1世代機」はレーダーを持たない戦闘機であったが、後にレーダー搭載型が主流となる。
MiG-21SやMiG-21SMが、1960年代後半から1970年代にかけてソ連の航空戦力の主力戦闘機型であったが、MiG-21SMを輸出用グレードダウン型MiG-21M、その改良型のMiG-21MF-75が開発され、輸出され、これがベトナム戦争でその格闘戦能力を発揮して大活躍する。
グレードダウン型でもこれだけの健闘をしたことから、ソ連本国仕様のMiG-21の性能は遥かに優秀であったことが推察される。

1971年に初飛行したのが、MiG-21シリーズのひとつの完成型となったMiG-21bisであり、F-15やF-14を仮想敵として開発された高性能機であったという。

1万機以上いう生産されてたが、その理由としては基本的に優秀であったことと、後継機MiG-23がMiG-21よりも劣っていたためという。
MiG-21を凌ぐ機はMiG-29の登場までなかったのである。

MiG-21の最終型「ランサー」のスペックは以下のとおりである。
翼幅:7.154 m 、全長:15.76 m 、全高:4.71 m、最大離陸重量:10500 kg 、エンジン:ソユース(トゥマーンスキイR-25-300 ターボジェット ×1 、
最高速度:2230 km/h 、巡航速度:946 km/h、航続距離:1800 km 、戦闘行動半径:350-750 km 、武装:23 mm連装機関砲 GSh-23L (弾数200発)
最大兵器搭載量1500 kgまで、ハードポイント 5ヶ所 空対空ロケット:パイソン-4(ピュトン-4;Pyton-4)、R-60;誘導爆弾;空対地ロケットなど 。
写真のモデルはフィッシュベットC、エジプト空軍機。

MIG27

旧ソ連の単座の可変翼戦闘/爆撃機、戦闘機タイプがMIG23「フロッガー」、戦闘爆撃機に改造したタイプがMIG27「フロッガーD」。
MIG21の後継機種として開発され、任務は制空と地上部隊支援、未整備の基地からも運用できる性能が求められた。
特徴は可変後退翼であり、アメリカのF−111、F14と似ているが、機体ははるかに小型。
主翼は高翼配置で可変翼であるが、自動可変ではなく3段階の手動切替式。

エンジンはツマンスキーR−29ターボジェットエンジン1基、アフターバーナー使用時の推力は12500kg。武装は23mm2連装機関砲1門。
空対空ミサイルも各種搭載可能。
MiG−23は操縦がし易く、安価で、性能もまずまず、兵器搭載量も4トンと多いため、旧東欧、アフリカ、中東諸国からの注文を受けて積極的に輸出された。
しかし、輸出されたのは電子機器を安価にした装備簡略型のフロッガーE、フロッガーFなど。
生産は1980年代まで行われ、約5000機(うち約1000機がMiG−27を含む対地攻撃型)が製造される。
イラン・イラク戦争、1981年のレバノン紛争、1990年〜1991年の湾岸紛争などにも登場する。
しかし、欧米機と戦った場合、簡易輸出版のフロッガーE、Fでは戦果より損害の方が遥かに多かったという。
 MiG−27フロッガーDはMiG−23Bを発展させた対地攻撃型である。
1972年に初飛行をし、1978年後半に就役。MiG−23との違いは機首部分で、パイロットの下方視界が大幅に向上した。
また、防護装甲も強化され、地形回避レーダーを装備、コックピットの側面にも装甲が施されている。
エンジンはMiG−23Bと同じツマンスキーR−29−300ターボジェットエンジン。
最大速度は遅くなったが、航続距離の延伸と搭載兵装の増加に当てている。
対地攻撃兵器は多彩であり、夜間や悪天候時にも高精度の攻撃/爆撃が可能。
機関砲はGSh−6−30 30mm6砲身ガトリング砲になり、攻撃力も大幅に向上。MiG−27は、インドとエチオピア以外には輸出されていなく、実戦は経験していないようである。
インドではライセンス生産が行われ1992年までに165機生産された。

MIG29
旧ソ連がMiG-21やMiG-23の後継機として開発した軽量小型の迎撃戦闘機。
ロシア語では「МиГ-29」ミーグ・ドヴァーッツァヂ・ヂェーヴャチ( mig dvadtsat' dyevyat')。ミグ設計局で開発されロシアでは「ラーストチュカ(Ласточкаラースタチュカ、燕)」という。
NATOのコードネームは「Fulcrum」(ファルクラム)。初飛行は1977年。
アメリカが開発したF-14やF-15などのが仮想敵機。性格はF16、18に似る。
エンジンの空気取り入れ口が大きく、開閉蓋が付いているが、このふたを閉めて異物の侵入を防ぎ、機体上部から空気を取り入れることで、不整地や凍土からの離着陸を容易にしている。
Su-27と形状が似ているのが、大きさはSu-27の方が大型。
燃料積載量が違うため、Su-27が長距離戦闘機であるのに対し、MiG-29は局地戦闘機的性格が強い。
当然ながらMiG-29が安価であるが、武装の拡張性はSu-27の方が優れる。

安価のため、Su-27より遙かに順調に輸出され、旧ワルシャワ条約機構各国の他、アジアやアフリカを中心に多くの国で採用されたが、最近はほとんど輸出されていないという。
現在も運用している国は、ポーランド、スロヴァキア、ブルガリア、セルビア・モンテネグロ、朝鮮民主主義人民共和国程度である。
この輸出仕様のMiG-29がくせものであり、旧式な火器管制装置しかつけられていないため、欧米の軍用機とは対抗しようがない。
このため、湾岸戦争やコソヴォ紛争では多く撃墜されている。
しかし、欧米水準の火器管制装置を搭載した場合は、F16などと互角以上の戦闘能力を持つことが、統一後、旧東ドイツ空軍の機種を編入したドイツで確認されている。
したがって、かなり欧米の水準に近づいているエレクトロニクス機器を搭載しているロシア本国仕様の本機の本当の性能は、まったくなぞのままであるが、F16,18と同水準程度はあるのではないかと考えられている。
全長:17.32 m 、全幅:11.36 m 、全高:4.73 m 、最高速度:マッハ2.3 、エンジン:RD-33 ターボファンエンジン×2基 推力:8300 kg ×2 空虚重量:10900 kg 、最大離陸重量:18100 kg

IL−28「ビーグル」

戦後、間のない頃、1947年12月にイリューシン設計局が開発を開始した中型のジェット爆撃機。
原型機は半年後1948年7月8日に飛行し、1949年には量産に入り、1950年に実戦配備されている。
双発レシプロをベースにしたような単純形状であったため、開発が早く、高速かつ運動性に優れていたという。
エンジンはロールスロイス・ニーンのライセンス生産型であったRD−45であったが、後にその改良型であるVK−1Aに変更された。
爆弾は胴体内の爆弾倉に1tとしているが、実際は3tno重量がある核兵器も搭載できたという。
魚雷2発を積載することもできたという。固定武装としては胴体尾端に銃座が設けられており、23mmのNR−23機関砲2門、一部には機首部にNR−23機関砲1門も装備した機もあった。
コックピット部同様、尾部銃座も与圧されている。
乗員は3名。パイロットが胴体上面に張り出したキャノピー部のコックピットに座り、航法/爆撃手が機首部のガラス張りガラス張りステーションに搭乗する。
もう1名は尾部銃首で、通信員も兼ねる。
乗員スペースは重装甲であり、装甲材だけで450kg以上の重量になっているという。
21の国に輸出され、中国では轟作5型(H−5、B−5)としてライセンス生産されている。
輸出数だけで数百機に達し、生産数は2000機程度はあったらしい。
全長21.1m、全幅25.5m、全高8m、総重量21.2t、兵器搭載量3t、航続距離2093q、最高速度時速1037km、乗員3名。
(ユナイテッド・ディフェンス http://www.eurus.dti.ne.jp/~freedom3/ の記事を参照した。)